弾丸ツアー

夜行バスで東京行っていくつか用事して、で『三文オペラ』見て、夜行バスで帰ってきました。2日もベッドで寝ないとさすがに体中がギシギシ言いますね。若くはない感じになってきたような。


ちょっと細かい感想は今は(時間が無くて)書けないです。なので、とりあえず具体的なストーリーについてのネタバレはありません。そしてまあ一応なっちファンのブログなので、ひとまずポリー=安倍なつみについてを中心に書きます。漠然としたネタバレ(?)は含むので神経質な方は読まれないようお願いします。



まず一言「痛快だった!」ということです。いろんな意味において。
観劇者としてラストのあのどんでん返しっぷりもそうだし、なっちファンとしてなっちについて(「ポリーについて」ではなく)もそう。


まあ当然予習はしてましたが、これは難しいですよね。最後に観客が、えっえっどういうこと? とポカーンとしたら創り手側からすると成功、みたいな感じがします。僕はあのラストに一瞬ポカーンとしつつも、直後にとても自然に・容易に「胸のすくような思い」を得ることが出来ました。
2列目という非常に近い席だったから見やすかったというのがあるかもしれませんが、なんつってもラストのあのメッキ(三上博史さん)の表情が最高でした。なんか説明が難しいですね、でもあんま専門用語とか弄するのも不毛な気がするので単純に書くと、ストーリーの中でメッキが少しの滑稽さと悲しみや怒りをたたえたピエロとして描かれて、そして最後のどんでん返しでさらにメタレベルから二重の意味でピエロにされたような。それまでのストーリーとか周囲のキャラクターの動きやら歌やら、全部あそこでのメッキを演出するためだけにあったと言っても過言では無いんじゃねえか、ってぐらいに思いました。


ポリー(安倍なつみ)について。キャラ造形にけっこう度肝抜かれました。「『アイドルからの脱皮』? ハッ」という感じなので、僕はね。だからあのアイドルでもやらねーだろっていうブリブリ感、そしてきっちり中身にロクデナシっぷり、っていうね、なんつうの、「そんな風に外ヅラぶりっ子してても一皮むけばドロドロなんだろ」って感じですね「アイドル」とか「芸能界」に対する「世間」っつうのは、ハハハ、そしてそういうポリーさん。かと思えばスッとマイクを取り出し、堂々と歌うその声は朗々と響く。素晴らしい。
彼女が意図していなかったとしても、安倍なつみという存在として、自分自身をネタにしてとても鋭い「皮肉」を体現する形になってたように思います。結果的に。僕はそれが痛快でした。


近所に座ってた舞台好きだか舞台関係の人だかっぽい若い女性二人の会話に聞き耳。「なっち凄いね、もう完全にアイドルから脱皮したんじゃない?」「いや、まだまだね」とのこと。ははん。


とにかくポリーの一挙手一投足、僕はほんとにぜーんぶ痛快でした。
ただ一つ。二幕のラストの歌で、ポリーは僕の目の前、本当の本当に目の前で、いや「目が合った」なんて馬鹿なことはいいませんよ、ただポリーの視線の先に僕の目が「たまたま」あっただけですが、あの歌詞にえぐられる思いがしました。「安倍なつみ」として歌う時はさ、こちらを糾弾して批判して叱咤するような歌って無いじゃないですか、歌詞的には。だから余計に。


今回はなんか、「ポリー」を見てるっていうより「ポリー=安倍なつみ」を見てる感じでした。強制的にメタレベルからの視点を持たされる感じでしたからね。それで上記のような混乱した感想を得たわけですが、混乱しつつも楽しかった。


三上博史さんについて書くべきことが死ぬほどあるし(あまりにも凄かった)、秋山菜津子さんも本当に凄かった、とか米良さん最高とか、松田さんも本当に素敵だったとか色々あるけどなんか書くこと多すぎてアレなんで今はひとまずやめときます。


あー、あと印象に残ったのはあのベニヤの生っぽい匂いと、あれはメッキ=三上さんの白粉の香りかな、そのへんが混じり合って大変になんつうか、艶かしかった。


それから、ちょっとまとまってないのであっちこっちに話が飛びますが、再びなっちについて。
前回の『祝祭音楽劇トゥーランドット』と比較しても面白いと思います。どこが同じか、どこが違うか。物語の作りも人物造形も全然違うけど、たとえば囚われた愛しい男性の所に登場、なんて部分は奇妙に共通してたりしますね。そのへんの比較。
それも踏まえて、安倍なつみにとって宮本亜門演出の2作への出演は何であったか、みたいなことを考えると結構、本当にいろんなことが浮かんできそうです。特に『三文オペラ』ってのは、僕がなっちについて、というか世の中について普段考えていること(そこになっちのことは深くコミットしてくるわけですが)に対して強烈な問題提起をしてくれた感じがしますので、また考えてみようかなと思ったりしております。
っていう感じでした。大阪公演見にいけるかな、その後でまたきちんと書こうかなという感じです。


あーそれから、なに、キスシーン? 素敵なシーンだったじゃないですか。
一部のなっちファンがグダグダ言ってたりするのかな。くだらん。と済ませたくはないが、まあでもそのあたりについてはまた今度別に書きます。最近僕がなっちのコンサートの雰囲気に抱いてた違和感につながってくる気がするので。


あと、これから観劇される方へ。
急遽チケット取ろうかなって場合は、たぶんプレイガイドより劇場に直接電話したほうが良いです。キャンセルが出たとかで、直前なのに驚くほどいい席がある場合があります(僕はそうでした)。まあ贅沢言うと一回目は全体を俯瞰できる遠目の席からで二回目が今回のような席ならよかったんだけど。


あとね、bunkamura周辺から神泉や円山町のラブホ街方面に出てすぐセブンイレブンがありますが、その向かいにある「風来居」っていうラーメン屋の塩ラーメンは昔からたまに食べるんだけど、なかなかイケます(笑)。卵かけご飯一緒に頼むといいです。「山頭火」と関係あるんだったかな、似てるんですが、僕はこっちのが断然好きです。どうでもいいっすね。