あの日の少女は

natsumi-crazy2004-08-01

あの頃は文化祭なんてものをやっていて、それが終わった直後にしぶとく今もヲタ仲間である例の奴と、重苦しいような疲労感を全身に纏ったまま足を運んだことを覚えている。もはや遠い日の登場人物である市井紗耶香の卒コン、日本武道館。なんだかわけのわからない四人がまた入って、そのうち二人なんてガキだし、卒コンでコンサデビューなんてやめて欲しいと思っていた。
あれから四年。その二人は、しっかりと二本ずつの足でステージに立ち、確かな言葉を残し、去っていった。その背中は紛うかたなき表現者のそれだった。
天真爛漫な明るさを振りまきながら、その小さな体でどれほどの壁を突き破ってここまで来たのだろうか。
肩を並べて走ってきた吉澤ひとみ石川梨華。それほどの苦労を分かち合ってきただろうか。飯田圭織矢口真里は、その背中で二人にどれだけの言葉を語り続けてきただろうか。走り続けてやがて訪れる分岐点の直前で、彼女たちは笑顔だった。一足先に新たな道に進む二つの小さな背中を見つめていた。
曲の合間に後輩たちを抱きしめる二人は、立派な先輩だった。彼女たちが誰かを「抱きしめる」姿は印象的だった。四年という月日を重ねた二人は、誰かを抱きしめる力を手にしていた。そして立派に卒業の挨拶を済ませた彼女たちとステージ上で顔を合わせれば、真っ先に駆け寄って抱きしめた中澤裕子安倍なつみがいた。多くの愛で包み、包まれ、二人は新たな未来を歩み始めていった。
辻希美加護亜依。この四年で、彼女たちを美しいと感じたのは初めてだった。