安倍なつみシングルV『夢ならば』感想

natsumi-crazy2005-05-21


(所謂「レビュー」ではありませんので、一度シングルVを見た方でないとわかりにくいかもしれません。ご容赦ください)


『夢ならば』はラブ・ソングです。そして人生と恋は切っても切れない縁のものであり、ひょっとすると恋こそ人生の本質でないかと思ってしまうことすらあります。特に僕のような若造は。


一体突然何を言っているのかという感じですが(笑)、要するにラブ・ソングには時に人生そのものが反映され得るということで、『夢ならば』がまさにそれに当てはまるのではないかということです。人生、つまりなっちそのものと言い換えても構わない。ここのところずっとテーマにしてきたことですが、このビデオ・クリップを見て一層そのように感じました。


映像自体は非常にシンプルなものです。セット、衣装からカット割りに至るまで、ごくごくシンプル。しかし、敢えてそうしたのであろうそれが、なっちの繊細な表現を十二分に映像に反映してくれています。後悔や自責の念・郷愁にも似た憂い。温かな思い出を想うことや、これからへの決意。それらは何も恋のみならず、人生のあらゆる場面であらゆる人に訪れることでしょう。もちろん、なっち自身にも。
そうした様々な微妙な感情を、なっちはその溢れる表現力で見事に伝えてくれています。


印象的なカットは山ほどあります。というか全てです。その気になれば、コマ送りにして1フレームごとの表情に別々に感想を付けることさえ出来そうな気がします(笑)。しかしそういうわけにもいきませんので、特に印象に残ったカットについて書きたいと思います。それは所謂「(『イントロ』に対する)アウトロ」の部分。最後のカットです。


なっちは一度俯き、一瞬だけかすかに微笑みます。いや、正確に言うと「笑顔でいなきゃ、笑顔になろう」と努めるような表情。そこで前を向き、不安げな表情を見せます。ここでなっちが不安げな表情のまま、画面は徐々にホワイト・アウト。しかし、なっちの表情をじっと見ていると、それは徐々に消え行きつつも次第に静かな決意に満ちた表情に変化していくのです。顔のどの部分が大きく動いたわけでもなく、しかし僕には確かにそのように感じられました。


深く考えすぎなのかもしれませんが、僕はこのなっちの表情に、「その場の笑顔を取り繕うのではなく、本当の笑顔を取り戻すために、不安を押しのけて進んでいく」ということを感じました。もしかするとそれは、なっちがここのところずっと挑んできたことなのではないかと。


『夢ならば』、その続きを見たい。決意に満ちた表情でホワイト・アウトしていったなっちの表情が、その後どのような道を進んでいくのかを。きっとなっちはそれを、次のシングル(あるいはアルバム)、そしてコンサートで見せてくれることでしょう。僕は8月までコンサートに行けそうもありませんが、ますます楽しみになってきました。


ところで、ある意味シングルVの目玉といえるメイキング映像(笑)。もう、これはほんとに大変なことです。なんであんな繊細な表現をするヒトが、こんなにも、なんというかえーーと、とにかくこんなにもアホな(笑)。もう可愛すぎます。異常ですよ。こんな風に僕のボキャブラリーを根こそぎ奪ってしまうほど可愛い。言葉にならないとはまさにこのこと。もう死にそうです。


と、このように、このシングルVは、たった20分足らずでなっちのコア的部分を濃縮して感じられるというような素晴らしい側面も持っています。このDVDに『夢ならば』以外のタイトルをつけるならば『安倍なつみ』だろうというほどに。なんかよくわからんですね(笑)。まあ、そういう感じですので、もしこれをお読みの方で未見の方がいらっしゃいましたら、是非とも購入してじっくり楽しんで頂ければと思います。


最後に、僕がこの作品を見て、「なっちが作品を通して伝えようとしたこと」とは別の部分で、なっちを見ていて感じたことを、あの名作映画『魔女の宅急便』の印象的なキャッチ・コピーを引用して示しておこうと思います。ピッタリの言葉なので。


おちこんだりもしたけれど、私はげんきです。