ザ・ヒットパレード〜芸能界を変えた男・渡辺晋物語〜

前・後編見ました。楽しませていただきました。出番は多くなかったけど、なっち・あさみん姉妹によるザ・ピーナッツもピンポイントでいい味を出してくれました。いつものように、るーとさん(id:avemarianatsumi)がツボをついたキャプ画を紹介してくださっています。いやあ、改めてニヤニヤしてしまいます(笑)。


やはり渡辺晋さんのお話ですから、安倍姉妹の出番はそう多くはなく、しかし逆にナベプロを語る上でザ・ピーナッツは欠かせない存在ということで、象徴的な意味でかなり重要なポイントを担っていたように思えました。番宣の段階ではザ・ピーナッツの歌声に合わせて口パクをしているだけで、二人の歌は聴けるのか?という心配もありましたが、しかしきちんと歌を聴かせてくれる場面があって安心しました。ザ・ピーナッツ自身の曲(『可愛い花』)はオリジナルに口パクという形でしたが、それは仕方ないですね。年配の方が当時を振り返って楽しむ、というのがドラマの大きなコンセプトの一つだったようですから。安倍姉妹の『ふりむかないで』を聴けたのは嬉しかったなあ。


『鈴懸の径』*1もそうですが、『Bei Mir Bist Du Schon』*2を聴けたのが嬉しかったなあ。昔の曲ってそれほど知っているわけではありませんが、ジャズのスタンダードは結構知っています。その中でも好きな曲の一つです。いつかフル・コーラスで聴きたいなあ。アンドリュース・シスターズの重厚なオリジナルもいいけど、安倍シスターズのシャープな歌も良かった。


お芝居らしい部分がほとんど無かったのは残念ですが、このようなドラマでなっちが重要な役柄を演じるというのは本当に嬉しいことです。僕は以前から、「なっちが主演でそれを頂点にまとまってしまう」ような普段のものではなく、実力派の、所謂「大物」の人々が出演する大作の中で、その一角を担うような役割を見せてほしいと思っていました。そういう意味でも嬉しかったです。


しかし、僕はこのドラマに描かれているような時代のことは知りませんでしたが、見ていて感心しきりという感じでした。テレビのエンターテインメントなんてあって当然という時代に生まれた僕は、このような創成期の人々の苦労を知りませんでしたから。戦後の焼け野原から這い上がろうと頑張っている日本の人々を笑顔にしたい、夢を与えたいという情熱がよく伝わってきました。役者の皆さんに関しても、先人へのリスペクトを込めて、大変に気合を入れて演技をしている様子が伝わってきました。特に柳葉敏郎さんという役者さんはいいですねえ。ハートがある。凄く凄くあったかいです。


うーん、その中になっちがいたのか。なんだか沸々と嬉しくなってきますね…。


テレビに出ている人々だとかスポーツ選手がよく「夢を与える仕事だから」と言います。そりゃそうなんだけど、僕はあまり軽々しく(「決まり文句」のように)そういうことを言ってもらいたくないなあ、と思っていました。だって「夢」なんてそう簡単に与えられるものではないでしょうから。


だけど、そのために命がけで、そして笑顔で頑張ってきた人々の姿をこのように見せられると、その「夢を与える」という言葉を素直に受け入れることができます。その役者陣の中になっちがいて、なっちには本当に普段から夢をもらっているから、ということも大きいのでしょうけどね。


自分が普段から心がけているそうした姿勢で、何も無いところからエンタエーテインメントを作り上げてきた人々の歴史に接し、演じるという機会を得て、なっちも感じる部分が多かっただろうな、と思います。どのような感想を持ったかをきちんと聞いてみたいです。


それから、あさみんと共演できたのもよかったです。歌とダンスで、しかもこのようなテーマのドラマで共演なんて、まさに理想的な話。あさみんも自分の道をしっかり歩んでいて、もはや「なっちの妹」という紹介だけでは到底語れないような経験を積んでいます*3。だからこそ、今二人が共演するということが良かったなあ、と思います。



「私たち、歌が大好きなんです!」


歌を愛し、スターに憧れる女の子の輝きは、時代を超えて不変なんですね。いいドラマでした。

*1:この曲はさすがに知りませんでした

*2:宮川泰さん役の近藤芳正さんが「頭からいこう」とやる所で歌う曲ですね

*3:「小説」はちょっと勘弁してくれって感じでしたが(笑)