徒然に思い出す『トゥーランドット』


前回はとりあえず思いつくところから順に、忘れないように書いていったのですが。なっちに関してはどうにもうまくまとまりません(笑)。色んな時期の色んな感情にまで遡って考えてしまうからなのですけど。


で、自分がかつてなっちの表現についてどんなことを考えていたかなと思って、色々過去ログを漁ってみました。自分の文章を引用というのもアレですが、たとえばこんなの。

なっちには是非、いずれ今回のようなトップレベルのお芝居に、観客としてではなく演者として関わって欲しいと思います。もちろん最初は脇役でいいのです。対象がファンに限られ、主役のなっちを頂点にまとまってしまうのではなく、一人の表現者として作品の一部となり、徒手空拳で挑んでいくなっちが見たい。どこまでも努力家で貪欲に勉強するなっちが(茅野イサムさんの評価を見たときは、本当に涙が出そうでした)そんな機会を得れば、どれほどのステップアップを見せてくれるだろうか、と思います。(id:natsumi-crazy:20051017)


これは、蜷川幸雄演出の舞台をなっちがやぐっつぁんと一緒に観劇した、という話を受けて。これ書いたの2年半前です。たった2年半後に、そのまんま叶ってるじゃねえか、っていう。
うん、これほどのステップアップを見せてくれましたよ。なんか夢みたいです、本当に(笑)。


あと、なっちを抜擢してくれたのは嬉しいけど(してくれたのがプロデューサーさんであったにせよ、宮本亜門さんであったにせよ)、一体どういうことで評価をしてくれたのだろう、と。以前「見ていてくれる人はいるんですね」なんて感無量な感じに書きましたが、具体的にそれはどういう場でだったのか、とか思いまして。


で、過去ログを見てみると、『白蛇伝』のとき。僕は音楽担当の広瀬香美さんの近年の活躍について調べているのですが。

この方は自身の歌手活動でももちろん有名ですが(中略)演劇の舞台に関しても、宮本亜門さんの舞台の音楽監督なんかをされています。


俺、書いてるじゃないかっていう。ここじゃないか?
色んなところ調べてみても、なっちがキャスティングされた経緯が語られてない気がするんですけど、推測してみるに、ここなんじゃないかという気がします。
たぶんね、僕は広瀬さんについて書いてるとき、うっすらと「これで広瀬さんつながりで亜門さんが観劇に来られたりして、なっちの熱演に光るものを感じて自らの舞台に抜擢、とかあったらいいなあ」なんて妄想をしていたに違いないです(笑)。
実際そうだったのかどうかはわからないですが、でも、結果そんなことになっているという驚き。積み重ねることは無駄じゃあないんですね。というより、それこそが一番大切なことなんですね。ほんとに。


いやはや。


ところで、『トゥーランドット』そのものについて。
森雪之丞さんって、正直言って作品に対して「うわっ、やられた!」っていう感想を持つことは無かったのですね、今まで。もちろん、「凄い人みたいだ」という印象はありました。たとえば僕が小さい頃からず〜っと歌っていたアニメ『ドラゴンボールZ』の主題歌『CHA-LA HEAD-CHA-LA』は森さんの作詞だと後で知って、「おぉ〜そうだったのか」って思ったり。でもこの歌詞も正直、いまいち意味がわからないんですよね(笑)。まあ子供向けアニメの歌だから、意味というより抽象的なカッコよさ、アニメの雰囲気を盛り立てる言葉たち、という意味で素晴らしかったけれど。


ところが。今回のクライマックスで歌われる『運命は遠い日の約束』。この歌詞カードがパンフレットについていて、メロディーを思い出しながら言葉を追ってみたら、凄い。


「あなたと逢うために 誰よりも この世界で 孤独だった」とか。
「あなたとあたためあう そのために 指はいつも 凍えていた」とか。


この言葉の選び方もさることながら、この短いフレーズにある物語性そのものが「運命は遠い日の約束」ということを語っている、という点がもの凄い。天才的だなあ、と。


そんなことを思いながら、劇を思い出しているのでした。


どうでもいいけど、サントラCD的なのは出ないのだろうか。
多分名古屋にもう一度見に行くのは難しいから、WOWOWでの放送を楽しみに待つ以外に無いのだけど。でも欲しいなあ。素晴らしい歌ばかりだったし、CDだけで伝わるものではないにしても、CDにして残すという形も取らないと勿体無い。


そうじゃなかったら「再演」です(早くも何言ってんだって感じですが)。
ああ、今すぐにでも、もう一度あの舞台を見たいです。


まあもっとも、「?」という点もたくさんあったのは確かなのですけどね。例えばカラフとトゥーランドットの間の絆の描写が少なすぎる、とか。
まあそういうことについても、また書こうと思います。思いますけど、ああ、もう一度見たいなあ……。