モーニング娘。

ライブの流れに沿って、まずは娘。について感じたことを。なっちが娘。から卒業して以来、娘。コンサートを見たのは2度目だと思います。しかもホール規模の会場では初、表情が肉眼で確認できるほどに席がステージに近かったことも初です。矢口リーダー体制ではもちろん初。なっちがいなければ、全メンバーを万遍無く見ることが出来るかと思っていましたが、そんなことはありません。「なっちなっちうるさいんだよまったり」という調子の僕ですが、一応現娘。の中では矢口、次がミキティーかよっすぃー梨華ちゃんか亀ちゃん…というような好きな順番のようなものは漠然とあります。しかし僕は全体をじっくり見るというのではなく、何人かのメンバーにとりわけ注目することとなりました。むしろ、最初から「なっちはどこだぁぁッ!」という血眼状態では無いから、自然と特に輝いているメンバーに――もちろん僕の目から見て、ということですが――目がいくということになるのかもしれません。ちょっと偉そうな言い方ですが、そういう意味では全員を公平に見られたのかもしれないと思います。って、評論家みたいでスミマセン(byなっち)。


そんな中でも、誰であろうか吉澤ひとみが、1曲目で登場した瞬間から僕の視線をとらえて離しませんでした。新しい髪形に興味を惹かれてふと目が行った瞬間からしばらく、僕は彼女がまるでなっちであるかのように(笑)彼女ばかりを追っていました。他のメンバーに視線を移しても、彼女は僕の視界の隅の方から手を伸ばして僕の注目を鷲掴みにし、半ば強引に自分の方に持ってくるかのようでした。特に「突然よっすぃーに目覚めた!推せる!」みたいなわけではないのです。もちろん昔から彼女のことは大好きですが。


何故だ?と考えているうちにやはり感じたことというのは、上に立つ立場としての落ち着き・アーティストとしての自信です。やはりリーダーという存在がメンバーをまとめるためにはには、時にそれが全く根拠の無いものでも「溢れるような自信」が必要であると思います。時に色々と考えすぎてしまう真面目さが弱気に繋がってしまう矢口リーダーの弱点を、そうしたよっすぃーの自信が十分にフォローしていると感じました。後輩を引っ張るにあたって、例えば矢口は「面と向かって」というタイプだと思うのですね。例えば辻ちゃん加護ちゃんに細かくあれこれ小言を言っていたように。しかしそれに加えて「無言の背中で」という引っ張り方が必要だと思うのです。例えば圭ちゃんが、なっちがしていたように。それをよっすぃーは出来ているのだなということを感じました。すっかりスリムになって生来の美貌を完全に表し始めている彼女ですが、少し前から感じ始めていたパワフルさは体型に由来するものではなく(失礼!)もっと内面的なものだったのだと思いました。
と、ここまで書いたところで、なっちの卒業のときに、なっちと抱き合って、その肩の上でなっちの耳打ちに一つ一つ力強く頷いていたよっすぃーを何故かふと思い出しました。
がんばれ、よっすぃー


それ以外には、そうしたよっすぃーの支えなどを得て立派にリーダーしていた矢口に拍手。それから、どの曲でだったかは失念しましたが、ガキさんに初めて「アーティスト」を感じました。素敵でした。ミキティの存在感は相変わらず堂々たるものでした。それから、麻琴は何か殻を破りつつあるという印象を受けました。「2階席3階席、みんなの顔が見えてますよ〜!」というなっち的なコメントもよかった。またいずれ、書く機会があれば。


今回がラストツアーとなる梨華ちゃんについては、最初はなんだかハジケきれていないなという印象を受けていました。もちろん思うことは山の如くあるでしょうが、それらをある程度整理し、消化するにはもう少し時間がかかるのかな、と単純な印象に依ってですが感じていたのです。しかし、ラスト「ザ☆ピース!」の直前のMCでのハプニングによってそれが一変したように感じました。そのハプニングというのは、「(ラジオなどで特に愛着のある)名古屋でのコンサートはこれが最後で…」というコメントに対して客席が「えーっ!!」と反応したことに、思わず梨華ちゃんの涙腺が緩んでしまったというもの。なんというかなぁ、奇妙な例えですが、オバちゃんとかがよく「やーね、ちょっと」みたいな感じで目の前の空間をはたくような動作をするじゃないですか。ああいう感じの動きを泣き顔でやるわけです。「梨華ちゃんそのもの」みたいな動きです。ハロモニ。の連帯責任ゲームで泣いてしまった時、カメラに向かって同じ動きをしていましたね。ともかく、そういうことが起きたわけです。
その際のメンバーの反応。「なっち&やぐち」のツッコミのほうの人とか、「ツッコミキティ」あたりはツッコんだり煽ったりするわけです。梨華ちゃんと会場の空気へのフォロー。そして極めつけは夫・よっすぃーの「アゴ出てたよ」。絶妙でした。そんなメンバーの軽口が、複雑な感情が入り混じっていたであろう梨華ちゃんの涙の持っていた、ある一つのとても大切な意味を説明してくれているように感じました。「嬉し涙、感謝の涙」。梨華ちゃんの涙はメンバーの温かな軽口を通して、素晴らしい「ザ☆ピース!」のパフォーマンスへとつながっていったように感じました。そう、これぞモーニング娘。だと思うのです。舞台裏でモニターを見ていただろうか、初めてのセンターを努めた梨華ちゃんを両脇からしっかりと支えていたなっちとごっちんも、きっとそんなことを感じていたのではないだろうか、などと思いました。